志磨遼平がムカつくという話

 

ドレスコーズの新譜だ。本当に志磨遼平という男には腹が立つ。彼はつくづくバンドという組織体系が合わない人物で、まずは毛皮のマリーズを終わらせた。毛皮のマリーズ最終公演の武道館の直前、最後のライブハウスでの公演が大阪のなんばハッチで、そこに私もいた。西くんの前でもみくちゃになりながら泣いた。「THE END」という曲で誰もいないステージで鳴り響き続けるギターをスタッフがそっと止めた時、本当に悲しくて美しくて理不尽で泣いた。


毛皮のマリーズ|ラストアルバム『THE END』TV-SPOT

その後、彼はドレスコーズというバンドを作った。毛皮が終わった時にはもうすでに始動していたぐらいのスピード感だった記憶。は?って感じである。でも、ドレスコーズがかっこよすぎて、また夢中になった。ドレスコーズはまずメンバーがそこにいるだけでもう他を寄せ付けないオーラな訳で。FM802主催の2013年の「ロッキンレディオ」というイベントがあって、ドロス(当時はシャンペ)、グドモ、TOTALFAT等と一緒にドレスコーズも出たわけですが、もう出てきた瞬間から会場がざわつくのよ。ものすごい空気をまとって揃いも揃って背の高い男4人(菅様は大きくないですが)がヌッと歩いてるだけでとにかく絵になって、演奏が始まったら爆発的なかっこよさで。あの会場にいながら「ワタシこの人たちのファンなんです!!!」って叫びたくなるぐらい。

 

あとは、「DONUT」という雑誌の表紙に使われた彼らの写真が大好きすぎて一生捨てられない雑誌のうちの1冊。あの見た目から繰り広げられるあの音が本当に好きだった。「ゴッホ」を初めて聞いた時は天才だと思ったもの。  

DONUT vol.5

DONUT vol.5

 

  

 


ドレスコーズ - ゴッホ

でも志磨遼平はドレスコーズも壊した。志磨遼平1人でドレスコーズと名乗るらしい。は?だ。ソロなんだったら個人名でやればいい。ドレスコーズは4人なんだ。1人になってから「1」というアルバムが出た。ゆったりした曲にも静かな曲にも激しい曲にも、孤独と悲しみと寂しさが漂っていて、聞いていて悲しかった。君に問題がありすぎるのだよと思うけどそれでも悲しかった。「スーパー、スーパーサッド」という曲のMVで過去自分が壊してきたバンドのCDを燃やすシーンがあった。過去を捨てて、また彼は孤独になった。

 

それなのに、だ。「1」のツアー、大阪・梅田AKASOで行われた公演は本当にひどかった。「1」に漂っていた悲しみなんてどこにもない、いきなり毛皮の曲からのスタートだ!アンコール含め全17曲、毛皮の曲が5曲、4人組ドレスコーズ時代の曲が2曲。(残りは「1」収録曲)は?毛皮ばっかりじゃないか。燃やしたんじゃないのか。1人になってからも毛皮の曲に頼るのか(お客さんももちろん沸く)。RO69の新木場公演のレポでは「・・・最新楽曲群を軸としてライブを構成する中に、・・・毛皮のマリーズ曲をいとも自然に織り込みながら、会場を熱く沸かせてみせる志磨。そこにあったのは『4人ドレスコーズ』時代とも、もちろん毛皮のマリーズ時代とも異なる『志磨遼平の音楽』だった。単に『演奏するメンバーが異なるから』ではなく、自分ひとりで世界と向き合っていくという明確な闘志が、・・・鳴らすアンサンブルに決然とした意志と強烈なヴァイタリティを吹き込んでいく。」とか書いてやがる。きれいごとにまとめんじゃねえぞ。自分で壊した過去を引きずって頼ってるだけじゃないか。「1」収録曲以外は全部新曲をぶちこむぐらいの勢いもないのか。ドレスコーズを名乗るなら毛皮の曲をしないでくれ。しないでくれ!毛皮に頼らないでくれ!ドレスコーズは4人なんだ!他の3人に失礼だからドレスコーズの名で毛皮の曲をするな!!!!!!何から何までダサかった。怒りと呆れで泣きながら帰った。

 

それがきっかけで志磨遼平から離れた。ツイッターエゴサしたものをすべてリツイートするとかいうしょうもないミュージシャンに成り下がったことも志磨遼平から離れた原因の一つである。離れてからも情報は入ってくるが、映画に俳優として出演したりもしてるらしい。むかつく。むかつく。むかつく。あんなにかっこよくてダサかった人が、ただのダサい人になった。むかつく。むかつく。悲しい。むかつく!!!

 

そして今回だ。「平凡」というアルバムがリリースされるらしい。収録曲のMVがYOUTUBEで公開されていた。ははーん。志磨遼平はこんな音楽も作れるのか。悔しい。かっこいい。悔しい。むかつく!音楽だけでまた夢中にさせてきた!もう志磨遼平に夢中になんてならないって決めたのに。むかつく!!!!!!


ドレスコーズ「エゴサーチ・アンド・デストロイ」PARALLEL VIDEO from『平凡』【イヤホン視聴推奨】

cinra.netのインタビューもめちゃくちゃ面白い。「そもそも、確立された自己だとか、個性だとか、そんなもの最初から本当にあったのかな? と。「はたして自分とは何なんだろう?」みたいな自問自答って、哲学者とかは別として、一般の人間にとっては産業革命の後、食うや食わずの時代を経て、それなりに時間と精神の余裕を持つようになってから生まれた問題だったことに気づくんです。そんなことをみんなが考えるようになったのは、ほんの100年ちょっと前の話で。」そう、志磨遼平ってこんな人。この世代でこんな人いないんだ。この人しかいないんだ。悔しい。本当に悔しい。

www.cinra.net

「平凡」を買った。1曲目から管楽器ときた。なんか「シュッとした」音楽になっている。むかつく。2曲目の「平凡アンチ」とか歌詞がめちゃくちゃ志磨遼平だ。「ぼくに権力をふりかざせるのはこのぼく以外にありえない そのくせ重度の理想主義者たるゆえ内戦にはことかかない 他国の知的財産の占有/私有は一切はばからない これがぼくの政治的思想 わかってたまるか」他に誰がこんな歌詞を書く?「人民ダンス」とかなんなんだこれは。サンバかよ。「エゴサーチ&デストロイ」はyoutube版のセリフを抜いているというまさかの展開。アホなのか?あれめっちゃ重要だろうが。「規律/訓練」もうタイトルからおかしい。管楽器かっこいい悔しい!ラップとかしちゃうのかよ。「駄々駄々駄々駄々!」ってどんな歌詞だ。タイトルむかつくランキング1位の「アートVSデザイン」あなたが言えば全然ださくないのが悔しい!

 

「平凡」については感想が山ほどあるから書ききれない。cinra.netのインタビューで話していたことが全編にわたって歌詞になっている。かっこいい。詞も音も思考も佇まいも。あの世代では志磨遼平以外に誰もこんなの作れないしこんな人いない。完敗だ。私の負けだ。悔しい。悔しい!本当にむかつく!結局また夢中だ!!私をどこまでもいらだたせる男、それが志磨遼平!